理研ENU-based gene-driven mutagenesis system(RGDMS)の利用案内および公開中の変異系統.
理研ENU-based gene-driven mutagenesis: 次世代版ジーンターゲッティング.
- ENU変異マウスは、遺伝子組換えマウスではありません。
- 2002年より一般に利用を公開しています。利用案内 もしくは下記電子メールアドレスにお問い合わせください;
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最新ニュース!
- [2010.4.12] 標的遺伝子リストを更新しました。公開中の変異系統リストも更新しました。本サイトの日本語版を公開しました。また、利用申込書および標的遺伝子をスクリーンするためのPCR設計マニュアルを一部改訂しました。新しいスクリーンシステムではマルチプレックスPCR設計は不要となりました。
- [2010.4.1] 次世代版ジーンターゲッティングで確立した変異マウス104系統の一般利用を公開しています。
- [2009.10.1] 発見した変異系統の分与をBRC実験動物開発室が担当することとなりました。これによって凍結精子からマウス個体へ復元するコストが大幅に削減されました。
- [2009.5.7] 変異マウスライブラリーのゲノムDNAからエキソン配列を濃縮しショットガンシーケンスする試みを開始しました。変異マウスライブラリーのエキソン配列に蓄積したENU変異系統の網羅的カタログ化を目指します。
- [2008.12.5] 標的遺伝子のリストを更新しました。また、"long conserved noncoding sequences (LCNS)" に発見した変異マウス35系統の一般利用を公開しました。本サイトの日本語版を一部開設しました。
- [2008.08.26] 本サイトを理研バイオリソースセンター新規変異マウス研究開発チームに移行しリニューアルしました。これにともなって、理研ENU-based gene-driven mutagenesis system (RGDMS)の利用申込書を一部改訂しましたが、全体概要、システム、利用方法、利用の流れに基本的な変更はありません。標的遺伝子リストも更新しました。
目次
1. 背景
2000~2008年、理研ゲノム科学総合研究センター動物ゲノム機能情報研究グループによって、表現型主導の大規模ENUミュータジェネシスを実施しました。この過程で、生産したG1オスマウス約10,000匹を凍結精子としてアーカイブ化しました。当チームの前身である個体遺伝情報研究チームではそのG1マウスのゲノムDNAアーカイブを整備しました。この2つのアーカイブが、理研変異マウスライブラリーです。さらに、高速高精度点突然変異発見システムを駆使することにより、点突然変異を標的遺伝子にもつ変異マウス系統の確立が可能となりました。ゲノムワイドにランダムに点突然変異を誘発する化学変異原ENUを用いながら、遺伝子主導(gene-driven)のミュータジェネシスを実現するという逆転の発想に基づくシステムで「次世代版ジーンターゲッティングシステム」とも呼ばれるものです。2002年には、このシステムの一般利用を世界ではじめてより公開し、ゲノム機能解明からヒト疾患モデルマウスの開発に貢献するものとして期待されています。
理研ゲノム科学総合研究センター(GSC)が、2008年3月に終了したことに伴って、理研変異マウスライブラリーおよび高速変異発見システムは、理研バイオリソースセンター(BRC)に移管されました。現在、BRC新規変異マウス研究開発チームが中心となって、この次世代版ジーンターゲッティングシステムの利用をさらに拡大するとともに、変異マウス系統の飛躍的な開発を進めています。
2. システムおよび概要
変異マウスライブラリーの凍結精子アーカイブには、約10,000匹のG1マウスに1匹あたり平均3000個の点突然変異がENUによって誘発され総数3000万の点突然変異系統が蓄積されています。標的とする遺伝子にPCRプライマーを設計し、ゲノムDNAアーカイブから標的配列をPCR増幅します。この膨大なPCR産物のなかからENU変異を含むサンプルを高速に検出同定するシステムとして、へテロデュープレックス検出法のひとつ温度勾配キャピラリー電気泳動法(TGCE法)を最初に実用化し、標的遺伝子に点突然変異をもつマウス系統を確立してきました。
2002年9月から、標的とする遺伝子にPCR配列を設計するだけで誰でも利用できるシステムとして公開するとともに、さらに、TILLING/Cel1法や高解像融解度曲線解析法(HRM)法などを導入し比較検討しながら、変異発見の高速高精度化とコスト削減も押し進めてきました。さらには、理研オミックス基盤研究領域に整備された次世代シーケンサーなどを活用し、全ゲノムを再シーケンシングすることで網羅的にENU変異を検出する試み2009年から開始いたしました。まずは、全ゲノムDNA配列のうち、遺伝子産物であるタンパク質をコードするエキソン部分に含まれる点突然変異マウス系統の確立公開に力を注いでいます。
3. 参考文献.
総説.
- Gondo, Y. (2008) Trends in Large-scale Mouse Mutagenesis: from Genetics to Functional Genomics. Nature Reviews Genetics 9: 803-810. (doi.org/10.1038/nrg2431)
- Gondo, Y., Fukumura, R., Murata, T., Makino, S. (2009) Next-generation gene targeting in the mouse for functional genomics. BMB Rep. 42(6): 315-323.
変異発見システム/発見変異率/発見変異スペクトル.
- Sakuraba, Y. et al. (2005) Molecular characterization of ENU mouse mutagenesis and archives. Biochem. Biophys. Res. Commun. 336: 609-619. (doi:10.1016/j.bbrc.2005.08.134)
- Takahasi, K.R. et al. (2007) Mutational pattern and frequency of induced nucleotide changes in mouse ENU mutagenesis. BMC Molecular Biology 8: 52. (doi:10.1186/1471-2199-8-52)
確立したモデルマウスの実例.
- Masuya, H. et al. (2007) A series of ENU-induced single-base substitutions in a long-range cis-element altering Sonic hedgehog expression in the developing mouse limb bud. Genomics 89: 207-214. (doi:10.1016/j.ygeno.2006.09.005)機能的なノンコーディング変異モデル
- Clapcote, S.J. et al. (2007) Behavioral phenotypes of Disc1 missense mutations in mice. Neuron 54: 387-402. (doi:10.1016/j.neuron.2007.04.015) 統合失調症モデル/大うつ病モデル
- Erickson, R.P. et al. (2007) An N-ethyl-N-nitrosourea-induced mutation in N-acetyltransferase 1 in mice. Biochem. Biophys. Res. Commun 370: 285-288. (doi:10.1016/j.bbrc.2008.03.085) 結核治療薬イソニアジドに副作用を示す薬理遺伝学モデル
- Sakuraba, Y. et al. (2008) Identification and characterization of new long conserved noncoding sequences in vertebrates. Mamm. Genome 19: 703-712. (doi:10.1007/s00335-008-9152-7)長高度保存配列(LCNS)変異マウス系統
- Labrie V. et al. (2009) Serine racemase is associated with schizophrenia susceptibility in humans and in a mouse model. Hum Mol Genet. 18(17): 3227-3243. (doi:10.1093/hmg/ddp261)統合失調症モデル
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