精子幹細胞の新しい自己複製様式の発見

BRC遺伝工学基盤技術室の貢献した研究成果が、2015年2月13日、米国の科学雑誌「Stem Cell Reports」で論文発表されました。

この論文は、京都大学 大学院医学研究科の篠原 隆司 教授らを中心とする研究成果で、BRCからは遺伝工学基盤技術室の小倉 淳郎 室長と井上 貴美子専任研究員、越後貫 成美 専任技師が貢献しています。

本研究成果全体の概要は、京都大学プレスリリースを参照下さい。

精子幹細胞の新しい自己複製様式の発見
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理研BRCの担当した部分の概要

本研究の中で、理研BRCは、培養精子幹細胞(GS細胞)とは異なった形のコロニーを形成する細胞集団(F-SPG)から細胞を移植した精巣と、GS細胞と非常によく似た形態のコロニーをもつ細胞集団(G-SPG)から細胞を移植した精巣のそれぞれから精子を分離し、顕微授精により産仔を作出する実験を担当しました。これにより、いずれの培養精子幹細胞も機能的な精子に分化できることが証明されました。
「顕微授精」は、人為的に精子を卵へ注入するものです。このため、採取した卵・精子を一緒に培養する体外受精とは異なり、運動性のない精子や未成熟の精子(精子細胞)でも受精をさせることが可能です。
今回は、「顕微授精」を行い、作製した胚をメスのマウス卵管内へ移植し、マウス産仔を獲得することに成功しました(図1)。なお、産仔を得られた割合は、論文補足データの表S5に記載しています。

図1マウスの「顕微授精」からの産仔獲得
図1マウスの「顕微授精」からの産仔獲得

今回、顕微授精・胚移植により獲得された産仔は、通常と同様に約20日で離乳し、正常な大きさと形の成体まで発育し、自然交配での繁殖力を持つことが確認されました。

「顕微授精」は、特にマウスでは難易度が高く、実施できる研究室は国内で10箇所に満たないと言われています。理研BRCでは、繁殖の難しいマウス系統も多く扱っており、それらをより正確・確実に扱うために、今回のような技術の向上に努めています。


本研究で使用されたバイオリソースの入手

本研究の中で、使用された材料のうち、以下のものは、理研BRCより入手できます。

Ret変異マウス RBRC06249 実験動物開発室
グリーンマウス RBRC05289 実験動物開発室

論文情報

Seiji Takashima, Mito Kanatsu-Shinohara, Takashi Tanaka, Hiroko Morimoto, Kimiko Inoue, Narumi Ogonuki, Mayumi Jijiwa, Masahide Takahashi, Atsuo Ogura, and Takashi Shinohara
"Functional Differences between GDNF-Dependent and FGF2-Dependent Mouse Spermatogonial Stem Cell Self-Renewal"
Stem Cell Reports Vol. 4 Available online 12 February 2015
DOI: 10.1016/j.stemcr.2015.01.010


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バイオリソース推進室
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