第138回BRCセミナーのお知らせ

ラマン散乱光顕微鏡法を用いた細胞指紋技術の開発と応用

日時:2016年11月25日(金) 16:00~

場所:バイオリソースセンター1階 森脇和郎ホール

講師:渡邉朋信チームリーダー/市村垂生上級研究員
理化学研究所 生命システム研究センター
先端バイオイメージング研究チーム

要旨

ポスター(PDF版)
第138回BRCセミナーのお知らせ

 我が国では、世界に先駆けて人工多能性幹細胞(iPS細胞)の発明が成され、様々な細胞や組織が、人工的に作られるようになっている。現在のところ、細胞の品質評価や分取は、主に表面マーカー遺伝子の発現の有無の調査により行われている。この方法は、蛍光抗体を必要とするため、高価であると同時に抗体の移植片への持ち込みの問題も生じさせる。また、安全性の面から、移植片から目的外の細胞を除く技術の確立が大きな課題として残されている。今、非染色・非侵襲での人工細胞/組織の品質評価および分取する技術が求められている。
 さて、細胞の種類や状態を定義するだけなら、それ特有の情報であれば何でも良いとも言える。例えば、個人を識別するためには、そのゲノム情報を必要とはせず、指紋のみで十分である。我々は、細胞の種類や状態を識別できる情報として、ラマン散乱スペクトル注目している。ラマン散乱は、物質と光の相互作用の一つで、そのスペクトルは、分子を構成する振動モードに由来する。細胞が発するラマン散乱スペクトルは、細胞を構成する全ての分子の情報を含んでいる。我々は、細胞の種類や状態がスペクトル形状を規定している可能性に着目した。これまでに、細胞種や分化状態がラマン散乱スペクトルにより識別・分離できることを示し、胚性幹細胞や筋細胞分化過程における細胞の分化状態遷移をラマン散乱スペクトルにより非染色・非侵襲的に追跡することにも成功している。ラマン散乱スペクトルを、細胞状態を定義する「指紋」として使用することを提案している。
 本セミナーでは、前半に、「ラマン散乱光スペクトルを用いた細胞指紋技術」に関する原理や応用、これからの研究計画について話させて頂き、後半で、顕微鏡技術や解析方法などの詳細について議論させて頂く予定である。

連絡先:細胞材料開発室 中村 幸夫 ・ 須藤 和寛 (029-836-9124)

申込みは不要です。