精子頭部を正しく形作るために必要なタンパク質を発見

筑波大学生命環境系の兼森芳紀助教と馬場忠教授(TARAセンター連携教員)らのグループは、大阪大学微生物病研究所の伊川正人教授と理化学研究所バイオリソースセンター遺伝工学基盤技術室の小倉淳郎室長(筑波大学連携大学院教授)らとの共同研究により、精子頭部が正常に形成するために必要なタンパク質ACRBPを発見しました。

精子頭部を正しく形作るために必要なタンパク質を発見
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本研究の中で、理研BRCは、ACRBPノックアウトマウスに由来する形態異常の精子(リンク先プレス記事3ページ目参照)を用いた顕微授精により産仔を作出する実験を担当しました。これにより、いずれの形態異常のタイプからも産子が生まれ、これらの精子の核ゲノムは正常であることが証明されました。

「顕微授精」は、人為的に精子を卵へ注入するものです。このため、採取した卵・精子を一緒に培養する体外受精とは異なり、運動性のない精子や形態異常の精子でも受精をさせることが可能です。

今回は、「顕微授精」を行い、作製した胚をメスのマウス卵管内へ移植し、マウス産仔を獲得することに成功しました(図1)。なお、産仔を得られた割合は、論文補足データの図S7に記載しています。

図1マウス卵子への「顕微授精」。矢印は注入された精子核。
図1マウス卵子への「顕微授精」。矢印は注入された精子核。

今回、顕微授精・胚移植により獲得された産仔は、通常と同様に約20日で離乳し、正常な発育を示しました。

「顕微授精」は、特にマウスでは難易度が高く、実施できる研究室は国内で10箇所に満たないと言われています。理研BRCでは、繁殖の難しいマウス系統も多く扱っており、それらをより正確・確実に扱うために、今回のような技術の向上に努めています。