平成26年8月1日、遺伝工学基盤技術室 及川 真実 特別研究員が、「Xistノックダウン処理は雌クローン胚の発生能を改善しない」という論文発表により、2013年の「Journal of Reproduction and Development Outstanding Paper Award」（優秀論文賞）を受賞しました。
同賞は、「Journal of Reproduction and Development」誌において最も優れた研究成果を発表した論文の第一著者に対して授与されるもので、毎年3～4名が選ばれています。
　　>> 写真（遺伝工学基盤技術室ウェブページ）

＜論文のポイント＞
遺伝工学基盤技術室では、これまでに、マウス雄の体細胞クローンの発生能が、RNA干渉法を用いたXist遺伝子の一過性抑制によって改善されることを明らかにしています（平成23年11月8日報道発表）。
今回の研究では、雌クローン胚において同じ手法を試み（※）、Xistの発現は抑制されるものの、発生能の改善は見られないことを確認しました。これは、クローン胚において、Xistの初期化機構に性差があることを初めて示した報告となります。

（※）今回の研究では、理研BRC遺伝工学基盤技術室において、雌の体細胞由来の核移植クローン胚を作出し、siRNAを注入して、Xistの発現を解析し、クローン胚の発生能を調べました。その詳細が、論文に記載されています。

＜原著論文情報＞
著者名 Mami OIKAWA, Shogo MATOBA, Kimiko INOUE, Satoshi KAMIMURA, Michiko HIROSE, Narumi OGONUKI, Hirosuke SHIURA, Michihiko SUGIMOTO, Kuniya ABE, Fumitoshi ISHINO and Atsuo OGURA.
“RNAi-mediated Knockdown of Xist Does Not Rescue the Impaired Development of Female Cloned Mouse Embryos”. Journal of Reproduction and Development, 2013, doi:10.1262/jrd.2012-195