本文へ

過去のお知らせ

第143回BRCセミナーのお知らせ

新規ゲノム編集マウス作製法:Easi-CRISPR法とGONAD法

日時:2017年 9月 8日(金) 16:00 ~

場所:バイオリソースセンター1階 森脇和郎ホール

講師:大塚 正人 先生
東海大学医学部医学科基礎医学系

要旨

ポスター(PDF版)
第143回BRCセミナーのお知らせ

 標的ゲノム領域にDNA二本鎖切断を導入することが可能なCRISPR/Cas9系を用いることで、個体レベルでより簡便に遺伝子改変を行うことができる。我々は、CRISPR系による遺伝子改変マウス作製を、より簡便に、より効率良く行うことを可能とする独自の手法(Easi-CRISPRとGONAD)の開発を進めてきたので紹介したい。
 Easi-CRISPR法:CRISPR系を用いることでノックアウトマウスが高効率に作製できるものの、遺伝子のノックイン効率は未だ低いものであり(~10%程度)、その効率向上はチャレンジングな研究課題の一つであった。そのような背景の中、我々は、長鎖一本鎖DNAをドナーとして用いることで高効率でノックインマウスが作製できることを示した。この長鎖ssDNAを用いたノックイン法(Easi-CRISPR [Efficient additions with ssDNA inserts-CRISPR]法)は、レポーター遺伝子ノックインマウス作製やfloxマウス作製にも応用可能である。そのノックイン効率は10~100%と極めて高く、今後、様々な配列のノックインに応用されることが期待される。
 GONAD法:CRISPRゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウスを作出する場合、受精卵への顕微注入法を用いることが多い。この場合、(1)受精卵の回収、(2)CRISPR関連試薬の顕微注入、(3)顕微注入卵の偽妊娠マウス卵管への移植、という、熟練した技術と高価な設備を要する3ステップを経ることとなる。我々はこれまでに、上述した3つのステップ全てを省くことが可能な新規ゲノム編集マウス作製法「GONAD (Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery) 法」の開発を進めてきた。GONAD法では、上記3ステップに代わって、受精卵を有する妊娠メスマウス卵管へのCRISPR関連試薬の注入、続く卵管全体へのin vivo電気穿孔を行う。これまでに、GONAD法を用いて各種ゲノム編集マウスの作製に成功している。一連の高度で煩雑な工程を全てスキップしてゲノム編集マウスを作製できるため、熟練した技術や装置を持たない研究者や学生個人レベルでも、マウス個体での遺伝子改変を手軽に試みることが可能である。

連絡先:実験動物開発室 綾部 信哉 (029-836-9529) shinya.ayabe@riken.jp

申込みは不要です。