第141回BRCセミナーのお知らせ

iPS細胞と発生工学技術で発見したアマミトゲネズミ生殖細胞の柔軟性

日時:2017年5月29日(月) 16:00~17:00

場所:バイオリソースセンター1階 森脇和郎ホール

講師:本多 新 先生
宮崎大学テニュアトラック推進機構
(医学系 発生・生物学分野)

要旨

ポスター(PDF版)
第141回BRCセミナーのお知らせ

 哺乳動物の雌雄は性染色体によって規定されている。メスならばXX型、オスならばXY型であり、オスとして発生するためにはY染色体(上の遺伝子)が必要不可欠である。奄美大島に生息する絶滅危惧(IB)類のアマミトゲネズミは、進化の過程でY染色体を失っており、極めて稀な性染色体構造(雌雄共にXO型)をもつため、遺伝子の雌雄差がほとんど見いだされていない不思議な動物である。性決定様式や染色体構成、あるいは種の進化など様々な観点から、非常に興味深い研究ターゲットであるが、その希少性から実際にトゲネズミの胚や個体を使った解析は現実的ではない。
 我々の研究チームは、メスの絶滅危惧種アマミトゲネズミの尾部先端細胞からiPS細胞を樹立した。その後iPS細胞をマウス胚に注入しマウスとの異種間キメラを作製した。メスのアマミトゲネズミから作られたiPS細胞はマウスとの異種間キメラとして体中に寄与し、大人の卵巣では卵子に分化していたが、驚くべきことに、精巣では精子にも分化していることが判明した。メスiPS細胞が精子として分化する例は一般的な哺乳動物では起こらない現象であることから、トゲネズミの細胞はY染色体消失という進化の過程で、卵子にも精子にも分化できる柔軟性を獲得していることが明らかになった。
 今回の研究成果は、哺乳動物における性決定様式進化の歴史を紐解くだけでなく、種の完全絶滅に備えるための一手段としてiPS細胞の活用が有効であることも示唆している。

連絡先:遺伝工学基盤技術室 小倉 淳郎 (029-836-9165)

申込みは不要です。