脊椎後弯や肋骨形成異常を引き起こす新たな遺伝子変異をマウスで発見

京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設の成瀬智恵助教、浅野雅秀教授、理研BRCマウス表現型解析開発チーム/日本マウスクリニックの田村勝開発研究員、若菜茂晴チームリーダー、大阪大学の伊川正人教授らの研究グループは、生まれつき重度の脊椎後弯症および肋骨異形成症を生じる新規モデル動物、 Jmjd3 遺伝子改変マウスを開発しました。また、同グループは、発生過程において脊椎骨や肋骨の形を決める遺伝子群が正常に働くためには、それら遺伝子群の発現抑制に関わるゲノム上の「印」を Jmjd3 が正確に取り除く必要があることを明らかにしました。今回の成果とこれまでの報告を踏まえ総合的に考察すると、ヒトの脊椎後弯症や肋骨異形成症においても Jmjd3 遺伝子異常の可能性が考えられ、今後の研究の進展に期待が寄せられます。

脊椎後弯や肋骨形成異常を引き起こす
新たな遺伝子変異をマウスで発見
京都大学 脊椎後弯や肋骨形成異常を引き起こす
新たな遺伝子変異をマウスで発見
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理研BRCの担当した部分の概要

本研究で理研BRCは、京都大学・大阪大学により作製された遺伝子改変マウスにおいて、詳細な骨形態解析を担当しました。この解析には、非侵襲的に3次元、かつ定量的な形態計測が可能なX線micro-CTイメージング解析法を用いています。 Jmjd3 遺伝子改変マウス胎仔の肋骨角度等の定量解析を行った結果、 Jmjd3 遺伝子改変マウスは、脊椎後弯(図1)に加えて、肋骨が本来あるべき位置よりも前側の構造に変化(例えば、第5肋骨が第3肋骨様に構造変化)していることが明らかになりました。この肋骨角度の定量解析データは、発表論文の図2B~2Dに記載されています。

図1:micro-CTイメージングによる骨形態比較

図1:micro-CTイメージングによる骨形態比較

出生直前の正常マウス胚(WT)、及び Jmjd3 遺伝子改変マウス胚 (KO)の側面からの骨形態X線micro-CT 2D画像(脊椎の一部を赤線でトレース)。左下の差込み図は、同一発生時期のWT胚を同じ向き(側面方向)からイメージングした3D画像。
WT胚の頸部脊椎角度とKO胚の頸部脊椎角度(WT、KO共に赤点線両矢印部分)を比較すると、KO胚には極端な脊椎の変形(脊椎後弯)があることがわかります。

X線micro-CTを用いたイメージング解析法は、今回の共同研究で行った詳細な骨形態解析のみならず、これまでX線では画像化が難しかった心臓や腎臓、脳などの軟組織についても高解像度かつ短時間での解析が可能になってきており、今後の形態学的表現型解析法の主流に成ると期待されています。理研BRCでは、この様な多くの研究者が利用できる有益なイメージング解析法の技術開発に努めています。

論文情報

Chie Naruse, Shinwa Shibata, Masaru Tamura, Takayuki Kawaguchi, Kanae Abe, Kazushi Sugihara, Tomoaki Kato, Takumi Nishiuchi, Shigeharu Wakana, Masahito Ikawa and Masahide Asano. (2017). New insights into the role of Jmjd3 and Utx in axial skeletal formation in mice. FASEB Journal.
DOI: 10.1096/fj.201600642R

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