動物とバクテリアの融合機構の一端を解明

豊橋技術科学大学とバイオリソースセンター(BRC)の共同研究成果が、2014年7月21日、米国の科学雑誌「Current Biology」のオンライン版で論文発表されました。

この論文は、豊橋技術科学大学 ・エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)の中鉢 淳 准教授(BRC微生物材料開発室客員研究員)らを中心とする研究成果で、BRCからは、中鉢客員研究員の他に、同 大熊 盛也 室長が貢献しています。

本研究成果全体の概要は、豊橋技術科学大学・理化学研究所共同プレスリリースを参照下さい。

動物とバクテリアの融合機構の一端を解明
動物とバクテリアの融合機構の一端を解明 豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS) 中鉢 淳 准教授らは、アブラムシが、細菌から獲得した遺伝子でタンパク質を合成し、共生細菌へ輸送していることを明らかにしました。続きを見る...

バイオリソース事業においては、本研究成果は、次のように位置付けられます。


培養のできない微生物

現在までの微生物研究では、種としての分類・同定がなされ、元の採取源から分離されて、培地上で培養できる「微生物株」を用いるのが主流です。

一方で、本件研究対象となったアブラムシ共生細菌「ブフネラ」は、昆虫の細胞内でのみ生存できるもので、単離した状態で人為的に維持・培養することは不可能と考えられています。

このように、自然界には、培養できないが学術研究上重要な、あるいは今後重要になる微生物が数多く存在しています(図1)。

図1培養できる微生物と培養できない微生物
図1培養できる微生物と培養できない微生物

これまでに分離・培養に成功している微生物種は、地球上に存在する全微生物種のわずか1%にも満たないと言われています。

『培養できない微生物をどのように実験材料として利用するか』は、微生物のポテンシャルを活用した研究開発を進展させる上で、重要な検討課題の一つであり、現実的な方法のひとつは、「遺伝子材料」として整備することです。「遺伝子材料」として維持・複製が可能になれば、その微生物がどのような能力をもっているのか(物質の分解・変換・産生)、どのような役割を果たしているのか、といったことが実験・研究できるようになります。


細胞内共生系

真核細胞やオルガネラの成立と進化を研究するために、真核生物の体細胞中に共生する微生物について多くの研究がなされていますが、本件研究成果は、「アブラムシ」と「ブフネラ」の関係がそれらのモデルとして有用であることを示した成果であると言えます。

現状では、宿主生物を「バイオリソース」としての品質で維持・管理したり、細胞株として培養・維持したりすることは、技術的に困難ですが、モデルとしての評価が確立した暁には、バイオリソースとしての利用系も必要となる可能性があります。


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バイオリソース推進室
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