理研ENU-based gene-driven mutagenesis system(RGDMS)の利用案内および公開中の変異系統.

理研ENU-based gene-driven mutagenesis: 次世代版ジーンターゲッティング.



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目次


1. 背景

2000~2008年、理研ゲノム科学総合研究センター動物ゲノム機能情報研究グループによって、表現型主導の大規模ENUミュータジェネシスを実施しました。この過程で、生産したG1オスマウス約10,000匹を凍結精子としてアーカイブ化しました。当チームの前身である個体遺伝情報研究チームではそのG1マウスのゲノムDNAアーカイブを整備しました。この2つのアーカイブが、理研変異マウスライブラリーです。さらに、高速高精度点突然変異発見システムを駆使することにより、点突然変異を標的遺伝子にもつ変異マウス系統の確立が可能となりました。ゲノムワイドにランダムに点突然変異を誘発する化学変異原ENUを用いながら、遺伝子主導(gene-driven)のミュータジェネシスを実現するという逆転の発想に基づくシステムで「次世代版ジーンターゲッティングシステム」とも呼ばれるものです。2002年には、このシステムの一般利用を世界ではじめてより公開し、ゲノム機能解明からヒト疾患モデルマウスの開発に貢献するものとして期待されています。

理研ゲノム科学総合研究センター(GSC)が、2008年3月に終了したことに伴って、理研変異マウスライブラリーおよび高速変異発見システムは、理研バイオリソースセンター(BRC)に移管されました。現在、BRC新規変異マウス研究開発チームが中心となって、この次世代版ジーンターゲッティングシステムの利用をさらに拡大するとともに、変異マウス系統の飛躍的な開発を進めています。

 

2. システムおよび概要

変異マウスライブラリーの凍結精子アーカイブには、約10,000匹のG1マウスに1匹あたり平均3000個の点突然変異がENUによって誘発され総数3000万の点突然変異系統が蓄積されています。標的とする遺伝子にPCRプライマーを設計し、ゲノムDNAアーカイブから標的配列をPCR増幅します。この膨大なPCR産物のなかからENU変異を含むサンプルを高速に検出同定するシステムとして、へテロデュープレックス検出法のひとつ温度勾配キャピラリー電気泳動法(TGCE法)を最初に実用化し、標的遺伝子に点突然変異をもつマウス系統を確立してきました。

2002年9月から、標的とする遺伝子にPCR配列を設計するだけで誰でも利用できるシステムとして公開するとともに、さらに、TILLING/Cel1法や高解像融解度曲線解析法(HRM)法などを導入し比較検討しながら、変異発見の高速高精度化とコスト削減も押し進めてきました。さらには、理研オミックス基盤研究領域に整備された次世代シーケンサーなどを活用し、全ゲノムを再シーケンシングすることで網羅的にENU変異を検出する試み2009年から開始いたしました。まずは、全ゲノムDNA配列のうち、遺伝子産物であるタンパク質をコードするエキソン部分に含まれる点突然変異マウス系統の確立公開に力を注いでいます。

3. 参考文献.

総説.

変異発見システム/発見変異率/発見変異スペクトル.

確立したモデルマウスの実例.

 

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