RIKEN BioResource Center

独立行政法人 理化学研究所 筑波研究所 
ナショナルバイオリソースプロジェクトシンポジウム
「我が国のバイオリソースの現状と将来展望」
及び バイオリソースパネル展示
開 催 報 告

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  神戸国際会議場におきまして平成16年12月9日(木)に「ナショナルバイオリソースプロジェクトシンポジウム」、また12月8日(水)〜12月11日(土)にバイオリソースのパネル展示が開催されました。第27回日本分子生物学会年会と同時開催で行われ、シンポジウムには約230名、パネル展示には約560名の参加者がありました。
  ナショナルバイオリソースプロジェクトは本年度で事業開始3年度目を迎え、順調に進捗しているところですが、事業をさらに継続・発展させていくことが求められており、その事業の内容について多くの方々に広く理解を得るとともに、今後の事業の推進に向けた意見交換を目的として、文部科学省、日本分子生物学会、ナショナルバイオリソースプロジェクト推進委員会の共催および神戸市、(財)先端医療振興財団の後援で開催されました。
   当センターからは、司会および演者として小幡裕一リソース基盤開発部長が、演者として吉木淳実験動物開発室長中村幸夫細胞材料開発室長が、また最後の総括と閉会の辞で森脇和郎センター長が参加しました。(発表内容はこちら

  シンポジウムの冒頭では、主催者を代表して小田公彦文部科学省大臣官房審議官(研究振興局担当)から我が国のライフサイエンス研究を発展させるためにナショナルバイオリソースプロジェクトを実施している旨、また本シンポジウムの開催主旨を含めたご挨拶がありました。次に、井村裕夫京都大学名誉教授・(財)先端医療振興財団理事長から基調講演「我が国のバイオリソースプロジェクトの展開と課題」として、生命科学研究基盤としてのバイオリソースの重要性、ナショナルバイオリソースプロジェクトが立ち上がる歴史的経緯、プロジェクトの目的と概要、ポストゲノム研究、研究用幹細胞バンクの説明、持続的な政府の支援等日本のバイオリソースを取り巻く問題点についてのご発表がありました。続いて、小原雄治国立遺伝学研究所所長から、リソースなくしてリサーチなしということ、バイオリソースの守り(後方支援)と攻め(最前線)の戦略、プロジェクトの継続性、分散型とセンター化、研究者コミュニティとの連携強化、今後の課題等についてご講演がありました。

  その次に、「情報センター整備プログラム」および「中核拠点整備プログラム」から計6課題について本プロジェクトにおける活動報告・今後の展望等について報告がなされました。会場からも多くの質問があり、活発な会でした。
   「情報センター整備プログラム」の代表者からの発表では、山崎由紀子国立遺伝学研究所助教授より、リソースの所在情報・特性情報の整備、実施計画と情報整備状況の報告、各リソース中核機関へのデータベース公開支援、国内外のリソースに関するデータベースとの連携等について発表がありました。「中核拠点整備プログラム」の発表では、実験動物(マウス)については、理研バイオリソースセンター小幡裕一リソース基盤開発部長及び吉木淳実験動物開発室長より、これまで日本で開発された多種多様な系統を整備していること、収集・提供にあたってはMTAの締結を行っていること、国際協力・連携を推進し世界のハブを目指していること、野生マウス及び提供依頼が多い遺伝子操作マウスの紹介、技術研修事業等の報告がありました。ショウジョウバエについては、山本雅敏京都工芸繊維大学教授より、モデル生物としての有用性、全遺伝子の突然変異系統の確立などゲノムワイドリソースについてや、系統の維持と国内外への提供実績、アメリカのインディアナ大学との連携、将来展望と計画の発表がありました。ミヤコグサ・ダイズについては、明石良宮崎大学助教授より、染色体数・ゲノムサイズ・ライフサイクル・実験室で栽培可など実験植物としてのメリットや、これまでの整備状況、いくつかの変異体の紹介、レクチンから糖鎖研究へのアプローチ等の発表がありました。大腸菌については、西村昭子国立遺伝学研究所教授より、保有系統の紹介、実施体制、管理・検索・分譲システムについてや、特許出願中の発送システムの紹介、収集・保存・提供実績、外国には無いリソースの独自性の重要性等の発表がありました。ヒト細胞については、理研バイオリソースセンター中村幸夫細胞材料開発室長より、ヒト細胞材料バンク事業の重要性、収集保有細胞株数や提供先機関の実績、研究用ヒト臍帯血の有用性と収集・提供体制及び倫理的手続き、他機関との連携等について報告がありました。

  最後に、ナショナルバイオリソースプロジェクト推進委員会の委員長として、理研バイオリソースセンター森脇和郎 センター長より、総括および結びとして、1)生物の歴史、進化、遺伝子の歴史への着目、2)胚操作・凍結技術の確立、3)日本の代表の次にはアジアの代表を目指すこと、4)非モデル生物、生物多様性をもう一度見直すこと等の今後の展望についての発言がありました。

 

  また、平成16年12月8日(水)〜12月11日(土)の期間で行われましたバイオリソースパネル展示は、ナショナルバイオリソースプロジェクトの中核機関を中心に、31課題のポスター発表がありました。そのうち、ショウジョウバエ、メダカ、カイコなど一部のものは実物のリソースを会場に持ち込んでディスプレーしていました。バイオリソースのユーザーの最も大きい団体である分子生物学会の会員に本プロジェクトの存在を知ってもらう、またリソースの入手方法や利用方法を知ってもらう非常に良い機会でした。
   当センターからは、「実験動物(マウス)」の中核機関として実験動物開発室、「実験植物(シロイヌナズナ(培養細胞・DNAを含む))」の中核機関として実験植物開発室、「動物細胞」と「ヒト細胞」の中核機関として細胞材料開発室、「動物及び微生物のDNA」の中核機関として遺伝子材料開発室、「病原微生物」のサブ機関として微生物材料開発室が其々ポスター発表に参加しました。
  12月9日(木)には各課題の代表者による口頭説明があり、参加者との活発な意見交換等がなされました。





 

 

《パネル展示》
○ 開催日時: 平成16年12月8日(水)〜平成16年12月11日(土)

○ 会 場: 神戸国際会議場3階 レセプションホール
   
○プログラム:  
   
1.

「実験動物(マウス)」の開発・収集・保存・提供事業
小幡裕一(理化学研究所バイオリソースセンター)

   
2.

. マウスENU ミュータジェネシスによるヒト疾患モデル動物の開発
小林喜美男(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター)

   
3.

CARD マウス胚・精子バンク
中潟直己(熊本大学生命資源研究・支援センター)

   
4.

NBRP-Ratにおけるラットフェノームプロジェクト(Rat phenome project in NBRP-Rat)
芹川忠夫(京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設)

   
5.

「ニホンザル・バイオリソースプロジェクト」の現況と将来像
泰羅雅登,宮地まり,鍵山直子,山根到,山本葉子,森近洋輔,藤山秋佐夫,小島俊男,榊佳之,伊佐正日本大学総合科学研究所,自然科学研究機構生理学研究所,東京都医学研究機構神経科学総合研究所,理化学研究所ゲノム科学総合研究センター)

   
6.

大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)の活動
吉川泰弘,平井百樹,松沢哲郎,長谷川寿一,落合知美,赤見理恵,倉島治(東京大学大学院農学生命科学研究科)

   
7.

アフリカツメガエル(トロピカリス)の研究基盤整備
矢尾板芳郎, 浅島誠, 平良眞規, 上野直人, 田代康介 (広島大学大学院理学研究科附属両生類研究施設, 東京大学大学院総合文化研究科, 東京大学大学院理学系研究科, 自然科学研究機構基礎生物学研究所, 九州大学大学院農学研究院)

   
8.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ゼブラフィッシュ」
岡本仁,政井一郎,吉原良浩,川上浩一,高田慎治,菊池裕,舟橋淳一,川原敦雄理化学研究所脳科学総合研究センター,情報・システム研究機構国立遺伝学研究所個体遺伝研究系,自然科学研究機構基礎生物学研究所,名古屋大学大学院理学研究科,東北大学大学院生命科学研究科,京都大学大学院医学研究科)

   
9.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「メダカ」
若松佑子1, 石川裕二, 酒泉満, 工藤明, 武田洋幸, 近藤寿人, 三谷啓志,柴田直樹1名古屋大学生物機能開発利用研究センター, 放射線医学総合研究所放射線安全研究センター, 新潟大学理学部, 東京工業大学大学院生命理工学研究科,東京大学大学院理学研究科, SORST プロジェクト近藤研究チーム, 東京大学大学院新領域創成科学研究科, 信州大学理学部)

   
10.

モデル昆虫カイコの利用促進−カイコ生物資源の魅力−
伴野豊, 山本幸治, 藤井博, 河口豊, 日下部宜宏, 清水進(九州大学大学院農学研究院)

   
11.

ショウジョウバエ―ゲノムワイドリソースの確立と展望―
山本雅敏, 上田龍, 和多田正義, 松田宗男京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センター, 情報・システム研究機構国立遺伝学研究所系統生物研究センター,愛媛大学理学部, 杏林大学医学部)

   
12.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「線虫」
三谷昌平, 安藤恵子(東京女子医科大学医学部)

   
13.

. 生物研のバイオリソース:ジーンバンク&DNA バンク&リソースセンター
長村吉晃、宮尾安藝雄、B.Antonio、佐々木卓治(農業生物資源研究所)

   
14.

イネ遺伝資源の特色とポストゲノム素材
倉田のり(情報・システム研究機構国立遺伝学研究所系統生物研究センター)

   
15.

カンキツ系植物(ミカン亜科植物)の遺伝資源
仁藤伸昌1,片山幸良,松本亮司近畿大学生物理工学部,佐賀大学農学部)

   
16. オオムギの多様性とバイオリソース
佐藤和弘,武田和義(岡山大学資源生物科学研究所)
   
17.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「コムギ」
荻原保成,川浦香奈子,持田恵一, 河原太八,安井康夫,笹隈哲夫,笹沼恒男,辻本壽,田中裕之,那須田周平,遠藤隆京都府立大学大学院農学研究科,長浜バイオ大学バイオサイエンス学部,京都大学大学院農学研究科,横浜市立大学木原生物学研究所,鳥取大学農学部)

   
18.

シロイヌナズナ種子及び植物培養細胞・遺伝子リソース
安部洋, 井内聖, 小林俊弘, 小林正智(理化学研究所バイオリソースセンター)

   
19.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ミヤコグサ・ダイズ」
明石良, 阿部純, 青木俊夫, 酒井達也, 霍田真一, 橋口正嗣, 磯部祥子宮崎大学農学部生物環境科学科,北海道大学大学院農学研究科,日本大学生物資源科学部,理化学研究所植物科学研究センター,農業技術研究機構北海道農業研究センター)

   
20.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「アサガオ」
仁田坂英二1, 飯田滋, 小野道之九州大学大学院理学研究院, 自然科学研究機構基礎生物学研究所, 筑波大学遺伝子実験センター)

   
21.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「広義キク属」
落合利紀, 谷口美穂, 小田島善子, 近藤勝彦(広島大学大学院理学研究科附属植物遺伝子保管実験施設)

   
22.

. 藻類の収集・保存・提供−ナショナルバイオリソースプロジェクト「藻類」
笠井文絵,川井浩史,井上勲,嶌田智,渡辺真之,横田明,河地正伸,渡辺信国立環境研究所生物圏環境研究領域,神戸大学内海域環境教育研究センター,筑波大学生物科学系,北海道大学先端科学技術共同研究センター,国立科学博物館,東京大学分子細胞生物学研究所,)

   
23.

ナショナルバイオリソースプロジェクト「酵母」−研究者による研究者のためのリソースセンターを目指して
下田親, 金子嘉信, 中村太郎, 多田晶, 森田雅代, 原島俊大阪市立大学大学院理学研究科, 大阪大学大学院工学研究科)

   
24.

病原微生物の収集・保存・提供事業と遺伝資源化に向けた取り組み
西村和子1,江崎孝行, 神原廣二,笹川千尋,菅原秀明,辨野義己,本田武司,三上襄1千葉大学真菌医学研究センター, 岐阜大学医学研究科, 長崎大学熱帯医学研究所, 東京大学医科学研究所, 情報・システム研究機構国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ 研究センター, 理化学研究所バイオリソースセンター, 大阪大学微生物病研究所)

   
25.

. ナショナルバイオリソースプロジェクト「大腸菌」
伊藤敬子, 麻生文子, 末永由美子, 西村昭子(情報・システム研究機構国立遺伝学研究所系統生物研究センター)

   
26.

. NITE における有用微生物バイオリソースの整備
藤田信之,関川智洋,中川恭好,鈴木健一朗(製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部)

   
27.

動物及び微生物のDNA
横山和尚(理化学研究所バイオリソースセンター)

   
28.

ヒトES 細胞
末盛博文, 角智行, 安近健太郎, 中辻憲夫(京都大学再生医科学研究所附属幹細胞医学研究センター)

   
29.

厚生労働省研究資源バンク事業
水澤博,橋本雄之,松田潤一郎,竹内昌国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部細胞バンク,国立感染症研究所,HS研究資源バンク)

   
30.

「ヒト細胞」および「動物細胞」バンク事業
中村幸夫(理化学研究所バイオリソースセンター)

   
31.

ナショナルバイオリソースプロジェクト-情報整備プログラム-「人」「もの」「情報」のネットワーキング
山崎由紀子, 菊池俊一, 菅原秀明, 伊藤元己情報・システム研究機構国立遺伝学研究所生物遺伝資源情報総合センター, 科学技術振興機構, 東京大学大学院総合文化研究科)

以 上




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